最終更新日 2007/06/14 19:25
「それは医者の論理だろう。医者にはダメと分かっていても、
患者さんの側には分かるわけがない。助けてほしいから来ているんだよ。
俺たちに力がないから助けられないんだよ」
北大で難しい手術を手がけて有頂天になっていた。そんな新人だった頃、
ある医師の手術に立ち会った際、その技術の高さに腰が抜けたという。
その後、その医師(故 伊藤善太郎 氏)のもとで修行するため、
1980年国立療養所から秋田脳血管研究所に転勤を願い出た。
それが現在 旭川赤十字病院脳神経外科の上山博康 医師である。
31歳の時、重症で手の施しようものない患者さんの手術に立ち会った。
結局、その尊敬する師匠でも成功させることができなかった。
手術後、深々と頭を下げて「力及ばず申し訳ございませんでした」と、
家族に謝まる師匠の姿を見ていた弟子の上山。
「そうやって謝ったら、こっちに落ち度がないのに医療ミスのように取られ
てしまいませんか?」と非難した。
その時はまだ、師匠から言われたその言葉の本当の重さを知らなかった。
それから8年後、妙に気があった1人の患者を受け持つことになった。
なんとしても助けようと思い、最後の望みを賭けた手術を試みたが、
思わぬアクシデントが起き、手術は失敗してしまう。
家族に土下座して謝った時、その亡くなった患者さんの高校生になる息子さんに、
「お父さんは先生の事が大好きだと言っていた。
で、先生を信頼して命を預けると言った。
お父さんが信じた先生にやってもらったんだから、
悔しくて悲しいけど僕達は許すとか許さないとか言えない。
一生懸命やってくれたのはわかる...」
と泣きながら言われた。
「辛いですね...」
信じてくれた患者の死で、あの言葉を身を持って知ることになった。
57歳の今でもその時の事が思い出されるようで、目に涙を溜めていた。
医者として、プロとしてのプライド・・・
僕達の仕事は逃げれない。逃げる事=患者が死ぬ事だからプロとしてやって
いくんだったら、決して逃げれない。
「弁護士さんに"絶対大丈夫ですよと言う事は危ないですよ"と言われた。
だから"止めた方がいいですよ"って言われた。
患者さんが命がけの信頼をくれるのに、逃げ道を自己弁明をするのは
卑怯なような気がします。患者さんが命を賭けるんなら、僕も医者の命を賭ける。
五分五分のリスクを賭け合ってこそ、本当の手術が出来るような気がしますね。
真剣勝負ですから。」
これが、上山の信念
・覚悟を持って言い切る
・目の前の事だけに集中する
プロフェッショナルとは・・・
「過去から通した生きざまで、自分を好きでいられる生き様を貫くこと。
それが僕は本当のプロだと思っています。自分を偽らないということですね。」
Ownerのひとりごと・・・
4月末、結婚式にご招待いただき、久々に訪れた秋田。
式を終えた翌日、ホテルを出てちょうど見ごろだという桜並木を散歩しながら、
昔お世話になった方を訪ねるとに。その入り口の手前、道路の反対側に見えた
大きな施設が、上にも書いた脳血管研究所。上山先生が秋田にいらしゃった頃、
ちょうど私も同じ空気を吸っていたらしい。そんなことで、ちょっとご縁を感じたのと、
先日、家族のかたが医療ミスにあわれたというコメントをいただいたcinemaさんの
コメントもあり、いつか記事にしたいと思いメモしておいた脳外科医上山博康氏の
「プロフェッショナルの流儀」出演時のお話を交えUPさせていただきました。
今回は、個人的な感情を入れずに書かせていただいた(引用)ので、
もし宜しければご自分の思いなどを下記にコメントをいただければ幸いです。
★2009/01/21追記
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興味をもたれた方はポチッと投票してみてください。 作成日2009/01/15
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