びっくりしました^^; 今朝の日経新聞の2面にわたり(いっせん万円近い!?)、
日本外科系連合学会関係者の座談会形式を採った、意見広告が掲載されていました。
どうやらかなり切実な、そして切迫した訴えのようです。 (P24・25 広告面)
日頃お世話になっているブログの方々の中にも、関係者の方々もいらっしゃいますので、
感謝の意を込め、ちょっとばかりですがお手伝い(?)をさせていただこうと思います。
このままでは、日本から外科医がいなくなる
と、2面に渡り大きな活字での大きな訴えが
疲弊した医療システムにメスを入れる必要が
外科医、外科志望者が急減 医療の将来に強い危機感
外科医に大きな負担が集中 数の不足とは別な要因も
医療の質を強く求める国民 若い医師は「3ない」を志向
他科に比べて多い周辺業務
若い外科医の負担増に
日本の医療費は最低水準 外科医の待遇改善も必要
21世紀は治療学の時代 体に優しい個別化の医療へ
医療費抑制策は見直しを 国民の視点で各論を議論
*日本の医療、特に外科医療を再生するには
国民の知恵で安全と信頼の外科医療を再生
*取り急ぎ見出しだけを記載させていただきました。
随時、追記させていただこうと思います^^
RSSリーダー
□ 他科に比べて多い周辺業務・・・8/31 23:05 追記
外科医がもっとも時間とエネルギーを使うのは手術です。
また、その手術の前後の管理も外科医本来の仕事です。
それに加えて、最近、以前に比べて重要性を増しているのが
患者さんへの説明です。インフォームドコンセントも以前とは異なり、
かなり時間をかけて、詳しくお話をするようになってきました。
もちろん、それは医療の原点ですから、本来の流れだと思います。
ただし、その説明の場の設定が患者さん側の都合に合わせて、
夜間や休日となることも少なくありません。このことは、自分の
ライフスタイルを維持することの難しさにつながっていきます。
医療の根幹の業務は簡略化できるものではありません。それでは、
どのようなことが外科医の労働環境を悪くしているのかといえば、
コンピューター化が進んだものの、その入力は外科医自信がやり、
さらに書き上げなければならない書類も少なくありません。
アメリカであればテープに録音しておけば専任のタイピストが
仕上げてくれる手術記録も、日本ではほとんどの外科医が
疲れた体に鞭を打ちつつ仕上げています。また、手術で取り出した
標本の整理も待ったなしです。このように諸外国では外科医以外の
専門が補ってくれるような雑務を、わが国では外科医、それも特に
若い外科医が行っていることが、忙しさを加速しています。
これらの業務を補填できるような仕組みができればと思います。
日本外科学界会長 兼松孝之氏
M: 他科に比べて肉体労働も周辺業務も多く、術後管理も大変。
でも、給料には差がないので、なり手が少なく見切りをつけ他科へ行く人も。
□ 医療の質を強く求める国民・・・9/1 23:45 追記
いろいろな機会に海外の外科医のリーダーたちに話を聞くと、
外科医の減少と労働環境の悪化は、やはり世界的に問題になっています。
例えば、米国でも外科医が減っているそうですが、その対策として、
労働時間の扱いを改善したり労働環境を少しよくするようにした結果、
外科志望者が少し増え始めたとのことです。一方、英国では、かつて
「ゆりかごから墓場まで」といわれた充実した医療施策は完全に崩壊して、
外科医は少なくなり、医師の労働環境も非常に悪くなっているようです。
そこでわが国の状況ですが、日本学術会議の臨床医学委員会
医療制度分科会では、医師の偏在、診療科の偏在に関する報告を
出しています。そこでは、日本の医療が量から質に転換した結果、
国民が質の医療を強く求めるようになり、提供する医療がそれに
追いつかなくなったとの認識を示しています。また外科に限らず、
医師の偏在が認められるとして、その背景に労働環境の悪化や
医療訴訟の増加をあげています。特に賃金の問題、医療訴訟、
労働時間の三つを重視しています。
□ 若い医師は「3ない」志向
かつて若い医師は、「汚い」「きつい」「厳しい」という3Kを嫌うと言われましたが、
今は「救急がない」「当直がない」「がんがない」の「3ない」の診療科を選ぶ
医師が多いのです。日本の医療は医師の奉仕で長年支えられてきました。
質の高い医療を低コストで提供してきたわけですが、最近の若い医師は、
自己犠牲を強いる日本の医療に見切りを付けたというこではないでしょうか。
「3ない」を求め、低賃金で高リスクな医療現場からは離れていくのです。
こうした現状を考えると、総論と各論の両方を検討しなければ、
外科医が減った理由をなかなか説明できないと思います。
国際医療福祉大学副学長 北島正樹氏
M: 現在では医学部の定員の約半数が女性という大学が急増しているそうです。
20年前にはおおよそ全体の2割、多くても3割だったそうですから、
男性が受験競争に敗れ、医学部へ入る数が減ってきているといえます。
かなり以前とは状況が変わってきているようです。そこで今まで以上に問題が
起きてきます。女医さんの結婚・出産に伴う休職や移動の制限により、
現場ではその人手の穴埋めをしなくてはなりません。もしそれが
出来なければ、外科などのチーム医療では残りの人が働ける状態でも、
人数が足りないために閉科になってしまうこともあるそうです。
女性が多くなっってきたら、肉体労働でもある外科医を選ぶという
ことも、当然減ってくるのではないでしょうか?また、体力的に手術
現場に立てる期間も短くなるでしょうから、そこにも問題がありそうですね。
このような話は、医療従事者側からはあまり出てきません。男性医師からでは
やはり言いづらいのでしょうが、話題にしていただけないのがちょっと残念です。
・・・・すみません、bittersweetなMadameのひとり言でした^^;
□ 日本の医療、特に外科医療を再生するには?・・・9/3 23:54 追記
以前は、経済的で技術の優れているといって、海外から日本に来て手術を
する例がありましたが、最近は同様の理由で、日本人がシンガポールやタイ
などへ手術施行にいくという話を聞きます。そうした状況は大変残念ですし、
絶対に是正されなければならないと思います。世界の人たちが日本の医療を
求めてくるように、医師の手で環境整備を行う必要があると考えています。
日本医師会常任理事 鈴木満氏
国民から信頼される良質な外科医を育成することに全精力を傾けるということ
だと思います。そのためには学会として、質の高い、国民にもわかりやすい
専門医制度を確立することなども必須でしょう。そのことを前提として社会にも
外科医療の現実の問題点を知ってもらい、また将来予測についてても理解
いただき、ともにその解決に取り組んでいかねばならないと思います。
日本外科学界会長 兼松孝之氏
□ 21世紀は治療学の時代 体に優しい個別化の医療へ
・・・9/4 23:58追記
20世紀後半は、診断学が急速に進歩した時代でした。CTやMRIなど
画像診断技術が開発され、血液検査でも診断の精度は格段に向上しました。
そして21世紀の医療はどうかといえば、診断学から治療の時代に入っったと
思います。21世紀に治療学の時代で、その治療学の中心こそが外科学。
ですから、これから展開していく外科の魅力を医学生たちにしっかり伝え、
志のある若者に日本の外科医療の将来を担ってもらいたいと思います。
日本外科学界会長 兼松孝之氏
私も21世紀は治療の時代だと考えています。特に高齢者が増えていますから、
体に負担の少ない治療法を進展させなければならないと思います。今から
130数年前に、医師でない福沢諭吉が、将来はあたかも口の中を見るように
子宮や胃の裏まで観察できるようになると、腹腔鏡を予見していますが、
その中でまた、「医療は外科より進歩す」とも述べています。今、21世紀の
医療はまさにそのようになってきているのです。体に負担の少ない個別化した
治療を実現するためにはコストもかかると思われますが、それでも積極的に
発展させていくことが重要だと考えています。
国際医療福祉大学副学長 北島政樹氏
入院して手術を受けたことがある人は、病院の医師が実に良く働くので
驚いたと、ほぼ例外なくおっしゃいます。手術を経験したひとはそのように
外科医の状況をよく理解されるのですが、あまり病院に縁がなければ容易
には理解しにくいと思います。ですから、医療界の抱えてる問題を国民よく
説明し、まず理解を求めることが重要だと思います。また、外科医の
育成については、志をもった若者は当然いるはずですから、彼らの能力を
しっかり伸ばすことができる環境を構築することが、重要だと思います。
社会保険診療報酬支払基金理事 中島正治氏
□ 医療費抑制策は見直しを 国民の視点で各論を議論
・・・9/6 23:56追記
専門的な立場から取り組むべきところと、医療全体で取り組むべきところが
あると思いますが、行政を担当していた立場からいえば現在の医療界に
とってもっとも大きな重圧は財政難だと思います。すでに逼迫している国の
財政に、さらに医療費の負担を増やす余裕はありませんから、そこかで
ブレークスルーを見ださなければ、少々の改革では立ち行かなくなるのは
必然でしょう。そこで医療の方向というより、医療を国としてどう受けとめ、
どう対処していくかについて、もっと国民的な知恵を終結していく必要があると
感じています。欧米先進国も苦労している非常に難しい問題だということを
前提に、国民全体が知恵を出し、工夫していくことが重要なのではないで
しょうか。
社会保険診療報酬支払基金理事 中島正治氏
現在われわれが直面している問題は、総論だけでは解決しません。各論を
ひとつずつ考えていく必要があります。外科を中心とする医療の効率化と質の
向上にまずフォーカスを当てることです。それから、良く言われている医療の
イノベーションを進める必要があります。例えば、有効ながんワクチンが開発
されれば、がんの抑制は可能でしょうし、医療費の劇的な削減も期待できます。
あるいは、高齢患者さんのために画期的な人工臓器を開発することも重要だと
思います。もちろんそうした開発研究には多額の資金が必要ですが、21世紀
の医療のイノベーションとして、国家的に考えていく必要があります。
また、視点を変えれば、機能分担と統合もキーワードになります。病院それ
ぞれが独自の特色を打ち出して機能を分担し、複数の施設が連携して医療の
統合を実現できればよいと思います。また先ほども述べた通り、診療費を
ドクターフィーとホスピタルフィーに分け、若い外科医たちにインセンティブを
与えらようなシステムを構築することも、日本の医療を発展させる有用な方策
であると思います。
国際医療福祉大学副学長 北島政樹氏
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膚から心臓の表面までの距離は、たったの2cmしかない。
だが、この2cm奥の心臓の手術をするために、
人類は二千年の歳月を費やした。
-故・心臓外科医 榊原 仟ー
*Mのひとり言は薄色の文字にしてありますので、
読みずらい時には、マウスでなぞってっみてくださいネ^^
まだまだ続く予定です。
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ありがとうございました(ペコリッ)
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