この頃Amazonでお買い物をしてくださった方がいらっしゃったようです。
以前cafe内で紹介した
『放浪の天才数学者エルディシュ』です。
あのような内容の記事にも興味を持っていただけただなんて、
ちょっと照れてしまいますが、やっぱりうれしいものですね。
(もしかして「雪の女王」効果?)
ありがとうございました♪ この場を借りて御礼を申し上げます m(_ _)m
実は私も今年に入ってからの書籍の買い物はほとんどがAmazon。
←中古品がほとんど^^;
またもや*ココよ♪*と呼びとめられ、買ってしまった1冊の本があります。
それがこの
医者が裁かれるとき―神経内科医が語る医と法のドラマ
ちょっとショッキングな日本語のタイトルですが、
原題は-
TRIALS of an EXPERT WITNESS -(裁判専門鑑定人)
日本では来年から一般人が裁判員として*裁き*に参加するようになるわけですが、
この本はアメリカで実際にあった医療過誤裁判を、鑑定人である臨床医学者の
立場から一般的に専門知識を持たない陪審員にわかりやすく説明するよう
に語られているので、法と医学の接点を興味深く学べる一冊だと思います^^
ちなみにownerはかなり良い状態の物を777円で手に入れることが出来ました♪
1.ゲームのルール・・・多発性硬化症
- 君、裁判所は法の裁きの場なんだ。正義で裁く場ではない。 -
by オリバー・ウェルデン・ホームズ(アメリカ連邦最高裁判所長官)
2.閉じ込められた
・・・医原性水中毒による橋中心髄鞘崩壊に伴う永久閉じ込め症候群
-「血圧は?」 「80に55」 「体液が必要だ。5%のブドウ糖液を
点滴で2時間1リットルずつ、私が診察に行けるまでしておいて。
午後遅くには行ける。」 「ほかになにか」 「口からは何も与え
ないほうがいい。せいぜい氷のかけらだ。これ以上吐くとまずい。」
5本目も終わり、6本目が始められた。
「頭が痛くなってきたんですけど」 7本目の点滴に入った。
患者は23歳。健康状態は良好で、妊娠中。つわりがひどかった。
そして発作、昏睡。脈拍80、血圧は上80、下50。
呼吸はゆっくりで浅かったのが、早く深い呼吸に変わった。
二人の医者は心電図を一緒に見た。「正常です」とマクミランが言い、
「正常だ」とテンプルは同意し「どうも脳内出血を起こしたようだ」と続けた。
マクミランは「それはどうでしょう。患者にはチェーン・ストーク型呼吸が
見られる。ということは、普通なにか代謝障害があるはずです。
糖尿病とか、肝不全、腎不全とか。出血じゃない」
ナトリウム値100 「なんだって!」 「他の電解質値を教えてくれ」
検査技師は電解質値をあげた。すべて異常に低かった。
「その点滴はなんだ」 「5%ブドウ糖液です」 「何本注射したんだ」
「これで八本です」「全部ブドウ糖液ばかりか」
「全部ブドウ糖ばかりです。グリーングラス先生の指示どおりです」
最後に残された手はただひとつ。これでだめなら植物人間と断言する
しかない。私は光を上に動かした。すると彼女の目がそれを追った。
動く。そこで光を下に動かした。垂直に降下させた。上と下へと、
私のポケットライトに沿って視線は動いた。しかし、左右へは動かない。
身体のあらゆる動きは脳の指令による。そのうち、視線の縦の動きは、
脳本体に一番近い脳幹上部がつかさどる。動きが眼球の垂直運動に
限られてしまうということは、脳が、上下の眼球運動の司令部すぐ下で
残りの神経系統から切断されてしまっているのだ。その下では動きが
起きない。それより下の感覚は脳に伝わりようがない。それ以外は絶縁
され、締め出され、脳は閉じ込められている。
「私は、彼が産科医としての行動についてではなく、脱水症状の患者に
対する注意義務について評価をしているんです。そしてこの問題では、
おおよそ医師であるならばだれでもしたがうべき注意義務があるのに、
彼はそれにしたがわなかった」 - 本文より
なぜだか、福島県立大野病院・産婦人科医の裁判を思い出してしまいました。。。
◆ ブログ内関連記事・・・医師の目
「医師から患者を守る」思想 2007/03/04UP 心臓外科医 山室真澄
3.さよならと手を振って・・・神経内科医の誤診 実は脊髄腫瘍
"彼の細胞がさようならと手を振っているのだ
(筋萎縮性側索硬化症) "
-正しい答えを引き出すためには、正しい質問をしなければならない。
正しい診断を下すためには、正しい検査をしなければならない。
調べるところを間違えたら、患者の疾患を発見することはできない。
これは、私の専門医研修日(レジデシー)初日に教わったことだ。 -
by ハロルド・L・クローアンズ(著者)
4.てんかんとリー・ハーベイ・オズワイルドの殺害
・・・被告人ジャック・ルビーの脳波
5.ひたすらダンディに・・・救急医の注意義務違反
6.危険もかえりみずに・・・頚動脈内膜切除手術
- 医学上のアドバイスということで、経験確かなことは、
どんな医者の言うことでもすべてアスピリンを一錠を
飲んで受けとめよということだ。-
by グッドマン・エース
7.化学による生活改善・・・新生児中毒性脳症
8.医療事故
-苦痛を訴える人でいっぱいの相談室もある。
苦痛をキャリアにするプロたちだ。 -
by イギリス医師会での
医学博士フランシス・ダトリー・ハートの発言
(1974年7月17日付デイリー・テレグラフ紙)
9.眠りながら殺してしまった
10.わたし、うまく転べないんです
11.今夜はだめよ、あなた
12.ジャンクフードの抗弁 ダン・ホワイトとサンフランシスコ市長暗殺事件
- 裁判官と陪審は有罪か無罪か、精神的に正常か異常かという問題の
決着をつけなければならず、彼らに代わって精神科医がその判断を
下さざるを得ない立場に追いやられることが多い。精神科医には、
感情的なストレスがあるとすべての場合に精神病だとする傾向がある。
私自身はそうしないようにしている。-
by 精神科医マーティン・ブラインダー博士、被告人側専門鑑定人
(1979年5月24日付サンフランシスコ・クロニクル紙にD・ウエジャーズ記者が引用)
13.私は誰にも撃たれなかった-三つの事件で語られる医原病物語
- TD・オア・ノットTD、それが問題だ -
*TD・・・遅発性ジスキネジー
14.ずる賢く狂う
- 1946年、アルバート・ドイッチという作家が単純な疑問を呈した。
「精神医学は、起訴された反逆犯を受け得る刑罰から守る
マントとして利用することができるのだろうか」
残念ながら、答えはイエスだ。- 本文P297より
15.煙のあるところ
- この事件の当時、私は外頚動脈バイパス手術が患者のためになる
とは思っていなかった。手術を受けないように勧めた。どの患者にも
一度として手術を勧めたことがないというのが事実だ。
しかし、1980年代に入ると、だれでもがこの手術をやっていた。
内外の頚動脈バイパス手術は、アメリカの10大手術にあげられる
ようになった。ヘルニアや胆石の手術と並んだ。
なぜ行われていたのか?私にはわからなかった。
治療になるのだろうか?私の知る限り、治療として役に立つ証拠は
なかった。 結局、国立衛生研究所が約3000人の患者を対象とする
共同研究を助成した。初めての充分信頼できる研究だった。その結果、
このバイパス手術が意味のないことがわかった。保険会社はこの手術
への保険金給付をやめ、そのため外科医も手術を止めた。-
本文P315 著者ノート より
16.1次的利得
17.積もった新雪のように汚れなく
18.二重の危険
- 手術は常に次善の策だ。もし、他に方法があれば、その方がいい -
by ジョン・カークリン博士 メイヨー・クリニック 心臓外科医
19.眠れる美女
世界の片隅でカエルの合唱を聞きながら
今週末もコーヒーと一緒にお過ごしください^^
長~い時間お付き合いいただきありがとうございました
もうすでに読み終えているという方、ご感想(コメント)をお待ちしております♪
どなた様も素敵な休日をお過ごしください☆彡 それでは、おやすみなさぃ。。。