福島県立大野病院産婦人科事件の判決が無罪ということになりました。
25枚の傍聴券に788人の傍聴希望者...ですか。ある意味凄いですね。
そう言えば、多くの医療従事者のブログで現地参加の呼びかけを
しているのを見かけました。その呼びかけ効果が出ているのであれば、
時間に余裕のない現場に残る医師では無理でしょうから、現場を立ち去り、
サボタージュしてしまった医療従事者の方でしょうか...
「有罪とか無罪とかは関係なく、真実を話してもらいたい」 ・・・ 遺族の弁
問題は残るでしょう...といいますか、ここからがはじまりかもしれません。
医師だけではなく、医療全体に問題が投げかけられるでしょうね。たぶん。
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Internal Bleeding
- The Truth Behind America's Terrifying Epidemic of Medical Mistakes -
第3章 ジャンボ機墜落 P74-P75
医療過誤
・糖尿病患者にインシュリンを過剰投与
(今抗うつ剤の過剰投与も問題になっていますね...)
・稚拙な外科テクニックによる子宮全摘出手術直後に起こった出血
・妊娠中の超音波診察での微細な異常の見落し
ケアの質の問題
・何年にもわたって医者通いをしている糖尿病患者の
血糖値を上手く管理しきれず、患者が脳溢血や
心臓発作を起こす危険性が増す場合
・医師が子宮摘出をどの場合に行ない、どの場合に行わないか
についての最新の知識を身に付けておらず、取る必要のない
子宮を摘出してしまった場合
・医療関係者は何百万人という妊婦が妊娠中のケアを
受けていない実態を、ケアの質の問題として恥じ入るべきであろう
第9章 練習は完璧の母 P206-P207
辞めさせられた外科医のインタビューのあと、がくがく振るえながら
その場を離れたものだ。私は彼らがどんな間違いをしでかしたかを
聞き出そうと思っていたのに、なんと彼らは自分がいったいどこで
過ちを犯してしまったのかさえわかっていなかったのだ。
インタビューを通して、私は新人外科医が優れた医者になれるか、
藪医者で終わるのかの違いを見極めることができるようになった。
簡単な二つの質問をすればよいのだ。
まず、一番目の質問は、
あなたは失敗をしたことがありますか?
二番目に、
あなたがやらかしたというその失敗のうちで、
最もひどい失敗は何ですか? もし、相手が
「いやぁ、私は失敗したことがありません」とか
「二度ほど気に入らない結果になったことはあるけれど、
それは私にはどうにもならないことが原因でそうなったのです。」
と答えたら、
外科医希望として最悪だ。最も見込みのあるレジデントたちは、
こう答えた。
「私は失敗ばかりしています。昨日、ひどいヘマをやったばかりで・・・・。」
そしてその失敗について語った。彼らは自分がやったことをあとで逐一
考え直し、どうすればよかったのかを考えることができるのだ。
新たな疫病「医療過誤」 (全576ページ) より
帯のキャッチコピーより - 次の犠牲者にならないために -
事故は人間の営みそのものだ。焦点はヒューマンファクターと組織。
これから2つがどのようにからみ合って事故をもたらすかを、
本書は事例を挙げて実にドラマティックに描き出しつつ、そこから
何を読み取るべきかを、説得力を持って語っている。
柳田邦男
医療事故は誰かひとりの責任追及ではなくならない。臨場感あふれる
豊富な事例から医療事故の本質がやっとわかる。世界屈指の研究者に
よる冷静な分析だ。
日野原重明
- The Truth Behind America's Terrifying Epidemic of Medical Mistakes -
医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
の著者小松秀樹氏
(東京大学医学部卒) 、
誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実
の本田宏氏
(福島県出身・弘前大学医学部卒) にも、
コーヒー片手に、是非とも読んでいただきたいと思っております♪
それから、今年設立されたばかりの全国医師連盟代表
の黒川衛氏
(長崎大学医学部卒) にも読んでいただきたいですね^^
8/22追記
御三人を師と仰ぐ人たちが道に迷わないようにご説明いただけましたら、
医療界はきっと良い方向に進むものと信じております。 by owner
ownerが尊敬する、福島県出身で東京大学や現長崎大学の医学部で教鞭を
とられた癌研究の権威者吉田富三先生が、もし今の時代にご存命でしたら、
この御三方にどのような忠告を申し上げていたのでしょうか。
「癌細胞はこう語った」を拝読すれば察することができるかと思いますが...。
未来を担う中堅・若手医師達の今後の品性ある行動に期待したいと思います。
8/22追記
福島県立大野病院産婦人科事件
争点1
検察側:無理に胎盤をはく離すれば大量出血は予見可能
弁護側:判断に誤りはなく大量出血は予見不可能
争点2
検察側:女性の死亡は医師の過失→異常死
弁護側:医師の過失はない→異常死にあたらない
出産手術で死ぬということは、医療界においては異常ではないのだろうか?
やはりご自分の身を守るためにも、届出は必要だったのではないでしょうか...
結夏に、世界の片隅でコーヒーを飲みながらひとり思うのでした☆彡
◆サイト内関連記事 8/22 8:30追記
・
医の目・・・「医師から患者を守る」思想 他(全4)
・・・以下2008-08-27追記
① 「医師の質確保 米国に学べ」
何事においても、数もさることながら、質は量より重要である。
国民にくまなく医療が行き渡るだけの医師確保も重要であるが、
それにも増して重要なのは医師の質の確保である。医師の粗製
乱造では意味が無い。
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② 「医師から患者を守る」 思想
アメリカの病院は「優れた医療を提供する事」と同時に、
「いかに医師から患者を守るか」ということをもう一つの使命と
考えている。これは日本にはまったくない考え方である。
More...
③ 「苦い経験を生かして」
優秀な臨床医は、良い経験の積み重ねから生まれる。
良い経験は幾多の悪い判断から生まれる。過去の失敗を
振り返り、将来の糧とすることが重要なことは、
医療に限ったことではない。
More...
④ 「医療費削減がすべてか」
医療保険制度はどこの国においても、国民の一番の関心事
である。アメリカの医療費は日本と同様年々増加し、現在では
国内総生産(GDP)の15%にまで達している。増え続ける
医療費をどのように削減するかで、この数十年、アメリカは
試行錯誤を続け、いまだに解決策に至っていない。
More...
Regional Medical Center ANNISTON Dr. Yamamuro
福島県立大野病院事件、冒頭陳述の要旨(検察側) 2007-01-28
福島県立大野病院事件、冒頭陳述の要旨(弁護側) 2007-01-28
2007-03-04UP 「医師から患者を守る」思想 より再掲載
2008年8月20日当日配布された「判決要旨」 〔PDF〕 NM online
・
医療過誤は新たな疫病!? 2008-08-11UP
・・・以下2008-08-27追記
世界最高の医療水準を誇る米国で死因の第5位をしめ、
先進諸国では国家的な問題とされ、流行病のように蔓延している
「疫病」である医療過誤を、冷静にまた学術的に高度なレベルを
保ちながらも、医学の専門用語をできるだけ少なくして、一般読者に
読みやすい本として書かれています。
- Amazon 『あらたな疫病「医療過誤」』出版社からの内容紹介 - より引用
・
『医者が裁かれるとき』 2008-05-24UP
・・・以下2008-08-27追記
正しい答えを引き出すためには、正しい質問をしなければならない。
正しい診断を下すためには、正しい検査をしなければならない。
調べるところを間違えたら、患者の疾患を発見することはできない。
これは、私の専門医研修日(レジデシー)初日に教わったことだ。 -
by ハロルド・L・クローアンズ(著者)
◇cafe ownerの目 8/22 15:50 UP
裁判の争点にはなっていないけれど、気になっている点
同病院は、高度の医療を提供できる第三次救急医療機関の指定を
受けておらず、特定機能病院の基準も満たしていなかった。また、
待機用の貯血はなく、輸血が必要な場合は、いわき血液センターに
ファクスで発注し、約1時間かけて自動車で搬送を受けることになっていた。
被害者の女性は、前置胎盤の管理目的のため2004年11月22日、
大野病院に入院した。被告人は、超音波検査の結果から、被害者の
胎盤は子宮の前壁から後壁にかけて位置し、内子宮口全体を覆っており、
一部は前回の帝王切開創(きずあと)にかかっていると考えていた。
このような場合、突然の大量出血が起きる危険があるが、大野病院は
大量出血した場合の輸血の確保が物理的に困難である。そのため従来、
前置胎盤患者は、より設備の整った磐城共立病院に転院させるなどして
きたが、被告人は被害者の帝王切開手術を大野病院において行う旨の
言動を、大野病院産婦人科職員に対しするようになった。
同院の助産師は、大野病院での出産は不適切であると助言したが、
被告人は「なんでそんなこと言うの」などと言い、この助言を聞き入れ
ようとはしなかった。 助産師が、ほかの産婦人科医の応援を要請した
方がよいのではないかと申し入れたところ、被告人は問題が生じた場合
には双葉厚生病院の医師に来てもらうと返答した。
このほか、被告人は手術前に、福島県立医大産婦人科の先輩医師から、
同大病院において、前置胎盤・帝王切開既往の妊婦の帝王切開時に
大量出血を起こして、その処置に困難を来したことを教えられ、大学から
応援を派遣してもらった方がよいのではないかと言われていたが、
その場でこれを断った。
- 冒頭陳述の要旨(検察側)より引用 -
ん~~、このことが彼の無罪を支援する医療従事者のブログではほとんど
取り上げられていないのは何故なんだろう...謎は深まるばかり
「しろくま」食べてもコーヒー忘れずにネ ↓
お帰り前にデザートを♪